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シニア層一人ひとりがキャリアを考える「場」をいかに作るか

シニア層のキャリアコンサルティングに取り組む機会が増えています。

この背景には社会全体の労働力減少に伴うシニア層の戦力化や70歳継続雇用の制度化、長期的な年金負担制度の見直しなどのさまざまな要因がありますが、大きな流れとして「人生100年時代を前提とした仕事人生をどう築いていくべきか」という命題があることを忘れてはなりません。

そのような中で、シニア層に自律的にキャリアを考えてほしいという企業側も、当事者である本人側も、キャリア研修やセカンドライフ研修のような機会の重要性では一致しているものと思われます。

しかし、一旦そのような研修を終えて時間が経つと、その後は忙しさに取り紛れる、結局は定年を目前にするまで日々の課題に追われるというケースが少なくないのではないでしょうか。 

ましてキャリア研修などが用意されていない中小企業であれば、シニアはより短期的な進路選択になってしまうはずです。

 

私は50代から60代にかけてのシニア層の人々がどこかで一旦日常生活を離れて、今後の仕事や生活を考えてみる「場」をどう作るか、が大きなカギではないかと考えています。

この年代になるとこれからのキャリアを考える必要もない、と決めつけている方も少なくないのですが、一方でそういうことを早めに考えねばならないな、と感じている人もかなり多くなってきていると感じています。

「今・ここ」で、どう「場」を作るか、の一つの提案として、次のような機会を活用して進めてみてはいかがでしょうか。

 

① 正月・年始、4月1日(新年度が4月からの会社であれば)、誕生日、などは気持ちが新たになる絶好のチャンスです。

② 「節目」(ある年齢への到達、病気、親族の変化、冠婚葬祭など)を見つけ、見過ごさない。

③ お金の計画から入る。自分の家計の資産や収入支出をまとめる機会を作ります。

必要に応じて、ファイナンスプランナーに相談する機会を作ってはどうでしょうか。その時がキャリアも考える機会になってくると思います。

④ 一人でやるのでなく、仕組みをうまく活用するのも一つです。

一度、しごとセンターや公的な機関のシニアコーナー、キャリアコンサルティングの活用をしてみましょう。公 

的サービスに気軽に話しかけてみることです。

 

 

繰り返しになりますが、60以降を含めたキャリアデザイン、生活プランが必要だと思っていても、多くの方が実行しない、できないのは「忙しい」「当面のことで一杯」、という流れにまかせてしまうからです。

自分で決める「場」づくりにぜひトライしてみてください。