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リモートでの講師体験から

 先日zoomを使ってのリモート講義を初めて担当しました。

これまでもzoomを使用したオンライン会議や打ち合わせは何度も行い、ホスト役となって議長を務めた経験もありますが、オンラインでの講師を務めるのは今回初めてでした。

 時間は2時間ものを中間で休憩を5分間取って行いました。

 

 パワーポイントを使って順調にスタートし、進んでいったのですが、しばらくして受講者のインターネットが不安定ということで、事務局からの指示で講師以外は全員ビデオ画面も音声もオフにしてやりましょう、ということになりました。

それまでは参加者の画面や音声は任意にしていたため、私の話でうなづいたり、笑い声が出たりしていたのが見えたり聞こえたりしていたものが、絵も音もなくなってしまいました。

ひたすら自分一人で話している状態となったわけですが、それは講師としては実に話しにくいものです。自分の説明が理解されているのかされていないのか、雰囲気から推し量ることもできず、極端な話、私の話が聞こえているのかいないのかもこちらではわかりません。

こうした一人で話すだけの講義というものがいかに難しく、また苦しいかを痛感しました。

 

先日手にした「ハーバード・ビジネス・レビュー」の20213月号に野中郁次郎氏へのインタビュー記事「身体知こそイノベーションの源泉である」がありました。

その中で野中氏は、オンラインでは本当に相手の視点に立つことはできない、と断言しています。オンラインと現実の対面とでは身体性、共感、共振といった点で、圧倒的な情報量の差があるというのです。

「デジタルでは触覚が持てない」という同氏の言葉にはとても大事なものがあると感じました。

 

単に講義だけの話ではなく、オンラインでの面談や話し合いには不十分な要素が必ずあることを忘れることなく、取り組む必要があります。