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50歳CDP研修から考える

9月に入ってからA社のCDP50研修の一部をお手伝いしていました。

これは50歳になった全員に、これまでの会社生活のキャリアを振り返り、今後の仕事生活のありかたを考えてもらう機会にするという狙いで、50歳到達者全員を対象として行われているものです。

コロナ禍のため、研修自体はオンラインですが、自分の学習と申告書シートの作成から上司面談、キャリアコンサルタントとのキャリアコンサルティングまで数か月かけて行う充実したものです。

 私はその中の一部を担当させていただき、50歳の人々にこれからのキャリアについて考える際の参考事例やヒントをお話しました。

 

 50歳となるとなんとなく一つの高台に上り詰めた感じがするものです。そこは頂上ではありませんが、下界のパノラマや歩いてきた道が見えるとともに、これから目指す頂上や目的地も少しずつ見えてくるような気がする感じに似ています。

 仕事でいえば、集大成に入るような、しかしまだまだやれるような、他方でこれからの過ごし方をどうすべきか迫られているような、複雑な心持ちといっていいのかもしれません。

 

受講者の皆さんにお話をしながら、自分自身の50歳の時にはどんなことを思い、その後どう変化したのか?が気になりました。

 私は日記をつけていないので当時のことをたどることはできませんが、本を読んだり講演を聞いた時に印象に残った部分を書いたメモ帳は作っていました。

 そこで久しぶりに古いメモ帳を箱の中から引っ張り出し、50歳のころのメモ書きを見てみました。

こんなものがメモされていたので、いくつかピックアップしてみます。

 

●『ラ・ロシュフコー箴言集(岩波文庫)』を読んで

「人間一般を知ることは、一人の人間を知ることよりもたやすい」

「我々は肉体よりも精神の中にいっそう大きな怠惰をかかえている」

●夏目漱石の『私の個人主義』を読む

「自分で自力で道を切り開ける人や、他の後をついて在来の古い道で進もうとする人以外は、どうしても自分のつるはしで掘り当てるところまで進んでいかなくてはならない。自分で道をつけて進み得たという自覚があれば、どんな下らない道でも、他の人々の批評や観察があろうと自分には寸毫の損害もない」

●コッターのリーダーシップ論を読んだ

「できるエクゼクティブはほとんどの時間をだれかと話して過ごしている。あれこれ質問することが多い」

「一日の予定をあらかじめ決めないで、その場その場で対応していること。こうした行動が重要」

 

 その時に自分がどんな仕事をしていて、どんな背景や脈絡で、これらの抜き書きをメモしたのか、考えてみると面白いものです。またそうした積み重ねの延長線上が今に至っているということも改めて考えさせられます。

 

 引用した個々の文の解説は割愛しますが、考えさせられる機会になりました。