フリージャーナリストとして活躍し、最後はガンと闘って47歳の若さで亡くなった千葉敦子さん。1980年代にはその行動力と、話題の著作が広く知られた方でした。
当時私は著書を読んだことがなく、最近になって千葉さんの『ニューヨークの24時間』を評価する記事を見て図書館で借りてみたら、とても面白く一気に読み終えました。
ニューヨークを舞台にジャーナリストとして、縦横無尽の活躍をされていた千葉さんの歯に衣着せぬ日本論、日本人論はとても面白く、思わず頷く内容に満ちているのですが、その中で、「日本人はお天気に気分が左右されすぎ」という件(くだり)があります。
アメリカで見ていると、日本人ほど天気によって気分が影響される人たちはいないと、彼女は言います。日本人同士の会話ではまず天候の話、そして暑い、寒い、天気が悪い、低気圧が来る、雨になりそうだ、など、そうした天候の悪化?によって気分が晴れない、体調が悪いという話題や同調が多すぎるというのです。
たしかに日本人同士で挨拶をするときには、お天気の話題、そしてそれによって快不快が変わるというような話しぶりが多いことは事実です。私たちは何とも思わず普通にそうした話をしているのですが、千葉は、「ひょっとしたら、日本人は天気以外に幸福感をもたらすものが少ないのでは?」と辛らつな観察をします。
日本人は自然を愛し自然と一体感を持った国民だから、という理由もないことはないのですが、彼女が一番言いたかったのは、一日を良いものにするのはあなた次第、自分が幸福な一日を作り、自分次第でどのようにもなるのだという意志や意識の低さです。
たしかに天候に限らず、さまざまな厳しい環境条件があっても、それらに負けず、自分のやりたいことは何なのかを考え、挑戦するということを、私たちはもっと意識する必要があるかもしれません。
欧米ではだいたいどこでも、「良い一日を」「良い午後を」「良い週末を」というあいさつで別れますが、仕事もキャリアも、未来に向かって自分がそれを開いていくのだ、という自らを恃む力強さを持ち続けたいと考えます。